国民年金保険料の納付は義務!納めないでいると差し押さえのおそれも
国民年金は厚生年金など他の年金制度に加入していない人が入るべき年金制度として、かねてから位置づけられています。20世紀は「保険料を支払わない方は将来の年金が受け取れない」というペナルティがある程度で、それを受け入れれば保険料を支払わずに済ませることも可能でした。現在でも、このような認識を持つ方は多いでしょう。
しかし現在では事情が変わっており、年金保険料を支払うか、免除制度などの適用を受けるかを選ぶ必要があります。未納のまま放置すると差し押さえを受けるおそれがありますから、最新の知識を学ぶことが必要です。
ここでは国民年金保険料を支払わない場合に受けるペナルティと、支払いが苦しい場合に取れる対処方法を解説していきます。
「国民年金保険料が未納でも、将来の年金がもらえないだけ」は過去の話
冒頭で解説した通り、「国民年金保険料を納めなくても取り立てはなく、将来の年金がもらえないだけ」という時代は過去の話です。2019年時点では、以下の両方に該当する方は差し押さえなどにより、強制徴収されるおそれがあります。
・国民年金保険料を7ヶ月以上滞納した方
・年間の控除後所得が300万円以上の方
これは以下の通り、国民年金の納付率が低下していることが主な理由です。平成25年度(2013年度)以降は未納者への強制徴収が開始されたため、納付率が上昇しています。
厚生労働省「平成 30 年度の国民年金の加入・保険料納付状況」より
実際に未納者への徴収は以下の通り、年を追うごとに強化されています。
年度 | 強制徴収対象者 |
2012年度~2014年度 | 控除後所得400万円以上、未納月数13ヶ月以上 |
2015年度 | 控除後所得400万円以上、未納月数7ヶ月以上 |
2016年度 | 控除後所得350万円以上、未納月数7ヶ月以上 |
2017年度 | 控除後所得300万円以上、未納月数13ヶ月以上 ただし控除後所得350万円以上の方は、未納月数7ヶ月以上 |
2018年度 | 控除後所得300万円以上、未納月数7ヶ月以上 |
この点で現代では、厚生年金の対象となっているサラリーマンを含めて「年金の保険料を払わず、免除の申請もしない選択肢はない」時代となりました。
年金の未納者に対して行われる措置
国民年金保険料を納めない方に対しては以下の通り、さまざまなアプローチがおこなわれます。
強制徴収 | 通知の内容 | 発信元 |
未対象 | ・電話 ・はがきや手紙 ・個別訪問 |
委託業者の場合が多い |
未対象 | ・特別催告状の送付 | 日本年金機構 |
対象者 | ・最終催告状の送付 ・督促状の送付 ・差し押さえの実施 |
日本年金機構 |
上記の通り、未納だからといっていきなり差し押さえが行われるわけではなく、段階を追って実施されます。ことに特別催告状から先のステップは、特別催告状→最終催告状→督促状→差し押さえの実施の順に、その都度通知が来ます。
このことは未納が判明しだい、早期からさまざまなアプローチが来ることを意味します。保険料の納付期限日は該当月の翌月末ですから、納付期限日を過ぎた場合は電話などにより、納付を促される可能性があります。
また差し押さえが実施される場合、銀行口座はよく選ばれます。この場合は未納額だけが引き落とされるにとどまりません。口座にある全額が引き出せなくなりますから、日々の生活や事業活動に大きな影響をおよぼすことになります。
支払いが厳しい場合は放置せず、相談や免除制度の活用を
ここまで解説した通り、今や「年金なんていらない」「年金制度なんか信用できない」といった理由で、国民年金保険料を支払わないことは認められなくなりました。ことに年間の控除後所得が300万円以上ある方は、あなたの意思にかかわらず、必ず支払うことになります。
一方で国民年金には、さまざまな免除制度が用意されています。以下に該当する方は全額、あるいは75%~25%の免除が受けられる可能性が高いですから、早急に年金事務所へ相談することをおすすめします。
該当者 | 国庫負担分 | 備考 |
失業した方 | 受け取れる | 免除の対象期間は、離職日の翌々年(離職日が12月31日の場合は、3年後)の6月まで |
所得が低い方 | 受け取れる | 前年の所得が「158万円+扶養親族等控除額+社会保険料控除額等」以下の方は、何らかの免除を受けられる可能性がある |
学生の方 | 受け取れない | 学生納付特例の対象 |
出産を控えた方 | 受け取れる | 出産予定日の前月から4ヶ月間が対象 |
配偶者からDVを受け、別居中の方 | 受け取れる | 本人の所得だけで審査が実施される |
上記の制度を活用した場合は、年金納付期間に算入されます。また学生を除き、国庫負担分を年金として受け取れます。該当する方はぜひ免除を申請し、少しでも多くの年金を確保しましょう。