日本の年金制度は破綻しないの?

日本の少子化が加速する中、新型コロナウィルスによる経済危機はさらなる少子化を引き起こすと考えられます。
少子化のスピードが速まった場合、現状の将来人口の推計により試算されていたわが国の公的年金の財政に影響を及ぼすことは避けられません。この記事では日本の少子化と年金制度の将来的見通しについて考えます。

日本の少子化は加速している

厚生労働省の「人口動態調査」2020年10月速報によりますと、2020年1月から10月までの全国の出生数の累計は74,864人で、2019年1~10月までの累計の77,341人から2.3%の減少になりました。また、婚姻数は2019年1~10月までの489,301件に対し、2020年1~10月までは424,343件と13.3%の大幅減となっています。2019年は令和婚ブームで婚姻数が若干増加したことを考慮しても10%超の減少は出生数への影響が懸念されるところです。 また、厚生労働省の「令和2年度の妊娠届出数の状況について」によりますと、新型コロナウィルス感染症の流行が本格化した2020年4月以降の届出件数が著しく減少しています。 このことから、2021年の出生数の大幅減少も想定され、コロナ禍が人口減少に拍車をかけるのではないかとの声も多く聞かれるようになりました。

月別妊娠届出数(単位:)

  1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 累計
2020年 83,010 71,660 78,891 75,807 67,919 67,115 69,448 513,850
2019年 84,196 74,911 75,653 76,083 81,911 70,973 77,929 541,656
前年比 -1.4% -4.3% 4.3% -0.4% -17.1% -5.4% -10.9% -5.1%

出典:厚生労働省「妊娠届出数の推移」より

日本の年金制度は破綻しなくても当てにできない推計値より実際の出生数は下回り続けている

ところで、日本の年金財政の見通しは国立社会保障・人口問題研究所の人口推計をもとに試算されています。 以下のとおり、2017年の「日本の将来推計人口」と厚生労働省の「人口動態総覧の年次推移」の出生数を比較してみました。 既出のデータから仮に2020年の出生数を前年比マイナス2.5%とすると、843,608人です。 ここまで毎年、実数は推計値を下回っています。2019年の実際の出生数は2023年と2024年の推計値のほぼ中間です。このことから、4年から5年前倒しで出生数が減っていることがわかります。 2020年の最終的な出生数や2021年の出生数次第では一層の減少も考えられます。

年次別出生数の推計値と実数の比較 (単位:千人)

年次 推計値 実数
2016年 992 977
2017年 968 946
2018年 944 918
2019年 921 865
2020年 902  
2021年 886  
2022年 872  
2023年 860  
2024年 851  

出典:国立社会保障・人口問題研究所2017年「日本の将来推計人口」、厚生労働省の2019年「人口動態総覧の年次推移」より作成

年金制度は破綻しなくても給付は減らされる

この状況下で現役世代の保険料で高齢者の年金受給を賄う、我が国の年金制度が維持できるのか疑問がわくところです。 2004年の年金制度改正で、「マクロ経済スライド」という制度が導入されました。マクロ経済スライドは年金制度の収入である保険料と、支出である年金給付を調整する仕組みです。 これにより、公的年金制度は破綻することはほぼありません。 しかし、それは安心ということではなく、徐々に年金の給付が減っていくことを意味しています

資金準備だけでなく長く働く準備も必要

年金制度が崩壊しなくても、もはや公的年金で老後の生活を賄うことは期待できないことは明らかです。 これからはNISAやiDeCoで老後資金準備をするのは当たり前で、それだけでは長生きリスクへの対策として不十分ではないでしょうか。 2022年から公的年金の繰り下げが75歳までできるようになります。これは、75歳まで年金が受け取れないということではありません。本来は65歳から受給できる老齢年金を75歳まで繰り下げて受け取れば年金額が増やせるというものです。今後はこのような制度を利用し、働く期間も長くして老後資金の枯渇を防ぐことが求められてきます。

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