コロナによる突然の休業で収入減に。休業手当を受け取れない方が、休業支援金を申し込むメリットとは。

引用:厚生労働省「新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金」:https://www.mhlw.go.jp/stf/kyugyoshienkin.html

新型コロナウイルスによる急激な経営状況の悪化により、会社から突然「休んでくれ」と言われた従業員も多いことでしょう。会社の指示で休業させた場合は、最低6割以上の休業手当を支払う義務があります。しかし会社もお金がなければ、休業手当を支払いたくても支払えません。

一方で国は企業からの申請に基づき、雇用調整助成金を支給しています。しかし申請件数は、2020年7月10日時点で45万件弱にとどまっています。日本の企業は359万社(2016年現在)もありますから、休業手当を受け取れていない方も多いのではないでしょうか。

このような従業員に対して、国から直接休業手当を支払う「新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金」(以下、休業支援金と略)の受付が始まっています。本記事では制度の説明に加えて休業手当や失業給付との比較を行い、休業支援金を申請するメリットについて解説します。

休業支援金を申請することで、平均賃金の8割を受け取れる

休業支援金とは、中小企業に雇用されている従業員が厚生労働省に申請することで、1日当たり平均賃金の8割が支給される制度です。1日当たりの支給額は、以下のどちらか低いほうの額となります。

・11,000円
・3か月間の給与の合計額を90で割った値に、0.8をかけた金額

計算に使う給与額は、休業前6か月のうち任意の3か月を選べます。以下の例をみてみましょう。

年月 給与額
2020年4月 210,000円
2020年3月 353,000円
2020年2月 333,000円
2020年1月 320,000円
2019年3月 369,000円
2020年2月 388,000円

この場合は2019年11月、12月、2020年3月の給与を選んで申請できます。1日当たりの支給額は9,866円となり、休業した暦の日数分が支給されます。

申請書には事業主が記載する事項もありますが、記入してもらえない場合でも申請できます。その場合は事業主への照会が行われますから、支給まで日数がかかります。また申請したからといって、必ず支給されるとは限らない点にも注意が必要です。

休業手当にこだわらず、休業支援金の手続きをすることがおすすめ

休業手当と休業支援金には、以下の違いがあります。

  休業手当 休業支援金
支払元 事業主 国(厚生労働省)
支払われる割合 最低でも平均賃金の60% まる1日休業した場合は、休業前平均賃金の80%
就労時間が4時間未満の場合は、休業前平均賃金の40%
上限金 規定なし 1日当たり11,000円
所得税 課税(給与所得) 非課税

高額の給与(月給55万円以上)を受け取っている方は、休業支援金よりも休業手当のほうが受け取れる額が多くなります。しかし、このような方は多くありません。大部分のかたは、休業支援金を受け取った方が手取り額は増えます。

たとえば月収30万円の方を仮定しましょう。1か月休業した場合、受け取れる金額は以下の通りになります。

種類 休業手当 休業支援金
受け取れる金額 18万円以上 24万円
所得税率 所得税率10%が別途課税 なし

上で示したように、休業支援金を受け取った方がより多くの額を受け取れます。しかも課税されないわけですから、受け取った額をまるまる使えるメリットも見逃せません。

このため休業手当を受け取れない場合は、いつまでも事業主に対して休業手当を求め続けず、休業支援金の申請を行うとよいでしょう。

ただし事業主からの休業手当は、休業支援金に優先します。後日休業手当を受け取った場合は、たとえ休業支援金より少額となる場合でも、受け取った休業支援金は全額返還しなければなりません。そのままにすると不正受給となりますから、休業手当を受け取り後2週間以内に、都道府県労働局職業安定部へ申告してください。連絡先は、支給決定通知書に記載されています。

退職して失業給付を受けるよりも、休業支援金のほうがよい理由

業績不振に陥った企業にお勤めの方のなかには、会社から退職をすすめられた方もいるかもしれません。「退職して失業給付を受け取り、景気がよくなったらまた再就職」などとお考えの方も、いるのではないでしょうか。しかしこの場合でも会社に残り、休業支援金を受け取るほうが有利です。その理由には、以下の4点があります。

・従業員の立場を維持できる
・厚生年金に加入し続けられる(将来の年金額が上がる)
・会社の健康保険を使える(たとえば扶養家族が増えても、保険料はアップしない)
・求職活動を行う必要なく、生活資金を受け取れる。失業給付よりも高額となる場合も多い

特に「景気が悪い間だけ失業給付を受け、また同じ会社に再就職しよう」とお考えの方は、会社にとどまることをおすすめします。退職時に再就職先が決まっている方は、そもそも失業給付の対象となりません。また失業給付を受けながら繰り返し同じ会社に再就職すると不正受給になり、支給された金額の3倍に延滞金を加えた額の返納を命じられるおそれもありますから、退職せず休業手当や休業支援金を受給しましょう。

前へ

相続時精算課税制度を利用すべきケースとは?相続税は節税できないので注意が必要

結婚・子育て資金を子に贈与する最適な方法は?非課税制度の利用者が少ない現状を考察

次へ