電力会社を変えると電気代がアップ?乗り換えて損しないコツを教えます
夏の猛暑に冬の寒波と、エアコンに代表される冷暖房機器を活用する方は多いでしょう。これらは電気代がアップする大きな要因ですが、使わないわけにはいきません。そのため新電力に乗り換えて、電気代を節約しようとお考えの方も多いと思います。なかには電気料金割引以外の特典も付与する新電力もあるため、うまく活用するとお得です。
一方で新電力は、すべての方が安さの恩恵を受けられるわけではありません。そもそも契約できない場合や、かえって高くなるケースもあります。このため年間の電力消費傾向を把握した上で、あなたに合った電力会社を選ぶことが欠かせません。
この記事ではお得に電気を使いたい方のために、新電力に乗り換えて損しないコツを解説します。
今はお得な電力会社を選べる時代
電力会社は、ご自身で選べる時代です。2020年8月12日現在、登録小売電気事業者(新電力会社)は670にもおよびます。
全国で新電力を選ぶことが可能ですが、なかでも関東圏は選択肢が豊富なことが特徴です。帝国データバンクが2018年9月7日に公表した調査結果によると、新電力会社の本社所在地が関東圏という割合が49.2%にのぼることは、これを示す1つのデータです。
新電力を選ぶ基準として、安さやお得さを選ぶ方は多いでしょう。エム・アール・アイリサーチアソシエイツ株式会社は2019年1月9日に公表した調査結果において、半数以上の方は安さを切り替え理由にあげています。
どれだけお得になるか、事前のシミュレーションをおすすめ
新電力は、誰にでも安さを提供してくれるとは限りません。電気の使用量が少ない場合は契約自体ができないか、かえってアップしてしまう可能性もあります。実際に、契約アンペア数を30A以上とする新電力は少なくありません。
ここでは2020年9月時点のニチデン「東京レギュラープランB」と、東京電力(従量電灯B・口座振替割引55円を適用)を比較し、それぞれどちらが安いか見てみましょう。契約アンペア数は30Aと仮定します。
電子使用量 | ニチデン | 東京電力 |
150kWh | ¥4,580 | ¥3,956 |
250kWh | ¥6,795 | ¥6,289 |
370kWh | ¥9,644 | ¥9,646 |
500kWh | ¥12,847 | ¥16,851 |
月間の電力使用量が370kWhを境にして、これより少ない場合は東京電力が、多い場合はニチデンがお得なことがわかります。特に500kWhの場合は、ニチデンのほうが4,000円前後少なくなることは特筆すべき点です。冬にエアコンを使う方は電力消費量が多くなりがちですから、新電力に変えるメリットはあるでしょう。
一方で一人暮らしの方など電気をあまり使わない家庭の場合は、新電力に変えると損する場合もあります。株式会社LIFULLによると、一人暮らしの方の電力使用量は平均で154kWhとなっています。あまり電力を使わない場合は、本当に得かどうか事前にシミュレーションすることをおすすめします。
乗り換えするなら金額だけでなく、特典やサービスも要チェック
新電力にはガソリン代割引やポイント付与など、料金以外にもお得なサービスを提供する運営会社があります。あなたに役立つ特典を提供する新電力を選べば、一石二鳥となるでしょう
ここでは一例として、ENEOSでんきを取り上げます。ENEOSでんきでは、以下にあげるいずれかのサービスを選べます。
支払い手段 | ポイントの特典 | その他 |
ENEOSカードS | 1,000円ごとに6ポイント | ガソリン・軽油代が1リットル当たり3円引き |
Tポイントに紐づけ | 200円ごとに1ポイント | 特になし |
特別提携カード | ポイントが1.5~4倍 | (カードにより異なる) |
毎月250kwh使う家庭を例に考えてみましょう。特別提携カードにセブンカード・プラスを選んだ場合、それぞれ得する金額は以下のとおりになります。
電力使用料 | 実質的な電気料金 | 年間の割引額 | 備考 |
通常料金 | ¥6,296 | ¥0 | |
ENEOSカード S(車を使用) | ¥6,260 | ¥2,088 | 毎月46リットルのガソリンを給油すると想定 |
ENEOSカードS(車なし) | ¥6,260 | ¥432 | |
Tポイント | ¥6,265 | ¥372 | |
セブンカード・プラス | ¥6,234 | ¥744 |
車を使う家庭ならENEOSカードSで、そうでない場合はセブンカード・プラスで支払うとお得なことがわかります。いずれも普通に使っていれば年会費を無料にできるカードですから、作っておいて損はありません。
料金表だけを見ず、各自のライフスタイルに合った電力会社を選ぶことが重要
新電力各社がアピールする「お得」という文字を見ると、つい自分にも当てはまると思いがちです。しかし新電力に切り替えても、全員が得するとは限りません。このため料金表だけを見ず、各自のライフスタイルに合った電力会社を選ぶことが重要です。