住宅ローンにおける金利タイプ別構成比の推移と今後の見通し

住宅ローンの金利タイプ別構成比の推移と背景

わが国では長期にわたる金融緩和政策によって、住宅ローンの貸出金利は底ばいの状態が続いています。このような状況において、住宅購入者が選択する住宅ローンの金利タイプはどのように変化してきたのでしょうか。

【図1】は住宅金融支援機構の「民間住宅ローンの貸出動向調査」をもとに、住宅ローン新規貸出における金利タイプ別の構成比をまとめたものです。2006年度は、固定金利選択型(固定期間10年未満)がほぼ半数を占めており、変動金利は14.0%にとどまりました。2006年に一旦、ゼロ金利政策が解除されたことを受け、その後、10年以上のより長期の固定金利選択型にシフトする動きも一部で見られましたが、リーマンショックを契機として2008年にゼロ金利が再開されると、変動金利の比率は上昇を続け、2012年度には68.4%とピークを迎えています。それと相反するように固定金利選択型(固定期間10年未満)の比率は大きく減少しています。

低金利が常態化するなかで3年や5年に代表される比較的、期間が短い固定金利選択型商品については、存在意義が薄くなったことがその背景の一つといえるでしょう。また、金融機関の商品戦略も大きな影響を与えていると思われます。【図2】は各金利タイプを重視する金融機関の割合を示したものです。データが取得可能な2009年度以降を見ると、変動金利を重視する金融機関が増える一方で、固定金利選択型(固定期間10年未満)を重視する金融機関は減少傾向にあります。金融機関側としては、固定金利の水準が低下傾向にあるなかで、金利リスクを抑えられることや、フラット35との共存関係から変動金利を推進する動機が高まったと想定されます。

このように、住宅の購入者が選択する金利タイプは、金融機関の戦略が色濃く反映したものといえます。

金利タイプ別構成比の今後の見通し

今後の金利タイプ別構成比がどのようになるかを予想するうえで、一つの目安になるのが変動金利と固定金利の金利差です。【図3】はメガバンク3行(三菱UFJ、三井住友、みずほ)の変動金利と、全期間固定であるフラット35の最低金利の推移を比較したものです。2011年3月時点で1.61%あった金利差が、2019年3月には0.59%まで縮小しています。変動金利は低下余地が乏しいこともあり、固定金利との金利差は縮小を続けています。相対的に固定金利のメリットが大きくなり、特にフラット35を代表とする全期間固定や長期固定金利の商品が注目される一つの要因となっています。その一方で、従来、短期の固定金利を選好していたであろう顧客層については、当面、低金利状態が継続する想定から変動金利にシフトすることも想定され、全期間固定・長期固定金利および変動金利への二極化が進む可能性があります。

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