雇用者における兼業・副業の実態とは?

働き方改革実行計画(平成29年3月28日)の決定を受け、厚生労働省は兼業・副業を原則容認するといった普及促進のためのガイドラインを作成しました。非正規という言葉をなくし、長時間労働の是正、多様な働き方を目指す改革の意義を持ちながら、兼業・副業における実態をみると兼業・副業の容認に抵抗のある企業が多い現状です。

本業に雇用関係がある(雇用者)かつ副業がある者は、年収が300万円未満の低所得層に多い傾向があります。年収が上がるにつれて副業がある者の数が減っていくようにみえますが、年収1000万円を超える高所得層になると副業がある者が増えています。

副業をする理由(複数回答)として多かったのが、「収入を増やしたいから」が54.9%、「一つの仕事だけでは収入が少なくて、生活自体ができないから」が37.0%、「自分が活躍できる場を広げたいから」が23.9%という結果でした。副業がある者は、世帯主に多いという結果もあります。

副業を希望する者が年々増えているのに対し、副業を推進・認めている企業は全体の28.8%程度。そのほか71.2%(約7割)の企業でいまだ副業を禁止している現状です。

兼業・副業を禁止している約7割の企業のうち「検討中」「検討したい」と答える企業は16.7%ありましたが、「検討していない」と答える企業は59.5%と半数を超えています。

企業が兼業・副業を禁止する理由(複数回答)は「社員の長時間労働・過重労働を助長するため」が44.8%、「労働時間の管理・把握が困難なため」が37.9%、「情報漏えいのリスクがあるため」が34.8%と、兼業・副業を容認するリスクが高いと考えていることがうかがえます。

兼業・副業を推進・容認している企業の理由(複数回答)には、「特に禁止する理由がないから」が42.5%、「社員の収入増につながるため」が38.8%という理由が多いかたわら、本業に支障が出ないことや、会社の社会信用を傷つけないことを条件としている企業が多くありました。

雇用者における副業がある者と、兼業・副業を容認する企業は増えつつあります。しかし、兼業・副業を始めるには企業と労働者双方のメリットや留意点を認識しつつ、企業の就業規則や労働契約の確認・労働者の健康管理・情報漏洩に対する対策など、企業と労働者による十分な話し合いが必要です。兼業・副業におけるガイドラインの調整は続いて行われていますが、環境の整備やルールの明確化などまだまだ課題が残るといえるでしょう。

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