「給料ファクタリング」は借金!事前に条件をよく確認し、ご利用は慎重に

お金が必要だけど、給料日まで待てない。そんな方が給料を前借りする感覚で、「給料ファクタリング」サービスを利用している方も、なかにはおられるのではないでしょうか。

給料ファクタリングにはメリットもありますが、一方でさまざまな問題も提起されています。利用者は「後日入金された給料を、ファクタリング業者に送金しなければならない」義務がある以上、借金と考えることが必要です。また毎月利用するともなると手数料も高くなるため、慎重な検討が必要です。

給料ファクタリングとは?

給料ファクタリングとは、賃金(給料債権)をファクタリング業者が買取り、給料日前にお金を受け取るサービスを指します。実際の手続きは、以下の通りとなります。

  1. 所定の申込フォームに沿って、勤務先などの情報を記入する
  2. ファクタリング業者で審査を実施
  3. 契約を締結
  4. 指定の口座に入金される。この際、10~20%の手数料が差し引かれることが多い
  5. 給料日になったら、ファクタリング業者の指定口座に送金する

契約の際には、個人信用情報機関への照会が行われません。このため多重債務者など、お金を借りられない方が頼りにしがちな手段です。

給料ファクタリングは借金と同じ

給料ファクタリングと通常のファクタリングとの違いは、以下の点にあります。

給料ファクタリング 賃金は直接、かつ全額従業員に支払われなければならない。
このためファクタリング事業者は、給与の支払者に直接支払うよう求めることはできない
通常のファクタリング 債権が報酬や売掛金の場合は、直接支払者に支払いを求めることができる

このため給料ファクタリングの運営会社は、サービスを利用した本人のみに対して入金を求めることができます。これは「貸したお金を返済せよ」と求めていることにほかなりません。事実、金融庁も以下の見解を示しています。

照会に係るスキーム(個人(労働者)が使用者に対して有する賃金債権を買い取って金銭を交付し、当該個人を通じて当該債権に係る資金の回収を行うこと。)においては、いかなる場合であっても賃金債権の譲受人が自ら使用者に対してその支払を求めることはできず、賃金債権の譲受人は、常に労働者に対してその支払を求めることとなると考えられる。
(中略)
当該スキームは、経済的に貸付け(金銭の交付と返還の約束が行われているもの。)と同様の機能を有しているものと考えられることから、貸金業法(昭和 58 年法律第 32 号)第2条第1項の「手形の割引、売渡担保その他これらに類する方法」に該当すると考えられる。
引用:金融庁「金融庁における一般的な法令解釈に係る書面照会手続(回答書)令和2年3月5日」:https://www.fsa.go.jp/common/noact/ippankaitou/kashikin/02b.pdf

従って給料ファクタリングを利用する際には、「私はお金を借りている」という意識が必要です。

給料ファクタリングは、年利で換算すると高金利

給料ファクタリングの手数料は業者により異なりますが、10%からというところが多いようです。「1割引かれるだけですぐにお金が入るなら、ありがたい」と思う方もいるかもしれません。しかし毎月利用しないと生活が成り立たない事態ともなると、金融機関からの借り入れより高金利となってしまいます。

1つの例として、毎月25日に給料ファクタリングを利用し、翌月25日に返すことを考えてみましょう。

手数料率 20万円利用した場合の受取額 年利(単利)
5% 19万円 64%
10% 18万円 135%

手数料が5%程度であっても、それは毎月かかる手数料であることを忘れてはいけません。このため利用者にとっては、貸金業者よりもはるかに高い利率で資金を調達することになってしまいます。

給料ファクタリングで提示される手数料は一見低率に見えますが、このような点にも注意が必要です。


利用する場合には条件をよく確認し、慎重な判断を

給料ファクタリングをめぐっては2020年3月24日、東京地裁において以下の判決も出ています。

・問題の契約は7万円の債権を4万円で買い取り、4日後に支払う給料ファクタリング
・実態は貸金業であり、年1840%と出資法を大幅に超える高い利息である
・取引自体が無効であり、出資法による刑事罰の対象にもなる

上記の例ほど高い利率でなくても、毎月10%の手数料を年利に換算すると100%を超えてしまいます。このため給料ファクタリングを利用する場合は条件をよく確認した上で、慎重な判断が求められます。

将来にわたって「お金が足りない。でももう借りられない」といった状況が続く場合は、早めに債務整理などの手続きも検討が必要です。この場合は、弁護士に相談することをおすすめします。

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