配当利回りが高い株や優待品目当ての投資は本当にお得なのか?

雑誌やWebなどのメディアでは、定期的に配当利回りが高い株や、お得な株主優待についての特集が組まれます。一例として2019年2月にダイヤモンド社が調べたところによると、配当利回りが高い銘柄の数は以下の通りとなっています。

・配当利回りが4%以上の株式は221銘柄
・配当利回りが5%以上の株式は38銘柄

長い低金利が続くなか、この利回りだけを見ると大変魅力的です。加えて配当利回りが4%以上の株式も多いため、好みの株式を選べることも魅力にあげられます。

しかし株式に投資するには元本保証でないなど、株式の特徴を理解した上で投資することが欠かせません。もし積立預金や定額貯金などと同じ感覚でいると、多額の損失を出すおそれもあります。従って投資をする前に、以下にあげる項目を理解しておきましょう。

そもそも株式は、価値が大きく変動する可能性がある金融商品

投資をする際には、株式は元本の保証がない金融商品という点を忘れてはなりません。さらに業者に対して、損失補てんを要求することも禁止されています。従って株価が変動するリスクは、投資家自身が負わなければなりません。

また株式は企業業績や経済状況などに応じて、常に価値が変動しています。ときには大きく変動する場合もあり、配当金や株主優待で得た利益を上回る損失が発生するおそれもあります。一例として、ソーダニッカ(8158)のチャートを見てみましょう。

ソーダニッカ

2019年3月期において、ソーダニッカにおける1株あたりの配当金は年間14円、1,000株以上の保有で3,000円のクオカードがもらえました。一方で2018年12月3日の株価は640円でしたが、3週間後の12月25日には467円と、30%近く下がっています。この値下がり額は、およそ10年分のインカムゲイン相当額を失う額となってしまいます。

なかでも配当金や株主優待の権利が確定する日の翌営業日は「権利落ち日」といわれ、株価が下落しやすいことはよく知られています。場合によっては受け取った配当金や株主優待の価値を超える下落幅となる場合もあります。

一方でさきほど解説したソーダニッカの場合、2017年7月から12月は権利落ち日を挟んでも株価は上昇を続けています。このように業績がよい場合は、権利落ち日を迎えても株価の上昇傾向が続く場合もあります。そのため投資をする際にはインカムゲインだけに目を奪われず、株価や企業業績のチェックも欠かせません。

配当金は市場金利ではなく、企業の業績によって決まる

配当金は株式を持つ投資家に対して、企業が交付するお金です。長期投資をしていて毎回同じ額の配当金を受け取っている方は、ともすると「利息のようなもの」と思うかもしれません。実際に冒頭で紹介した通り、「配当金利回り」という指標もあります。

しかし配当金は、利息と決定的に異なる点があります。それは配当金の額は市場金利ではなく、企業の業績によって決まることです。従っていくら配当利回りが高い銘柄であっても、今と同じ利回りや配当金の金額が確約されない点に注意が必要です。

たとえば市場金利が上向きの状況であっても、業績が下降した場合は配当金も配当金利回りも下落する場合が多いです。もちろん低金利の時代でも、業績が上向けば高い配当金利回りが得られる企業もあります。

株主優待は、新設も廃止も企業の意向しだい

一方で株主優待は、配当金ほど企業業績に連動しないことが多いです。これは株主優待を実施する企業は、個人投資家を重視する姿勢を示していることが主な理由です。しかしこのことは、株を持ち続ける限り株主優待を受け続けられることを保証しません。

そもそも株主優待制度をどうするかは、以下にあげる通り企業に決定権があります。このため、株主優待はいつでも中止される可能性があります。

株主優待を新設、または増強する理由 株主優待を廃止、または縮小する理由
・個人投資家を増やしたい
・魅力的な投資先として選ばれたい
・長期で投資してくれる投資家を増やしたい
・自社の商品やサービスに関心を持ってほしい
・企業の業績悪化
・企業の合併
・配当金へ一本化し、持ち株数に応じて公平に利益を分配したい

株主優待や配当金の減少・廃止は、株価に大きなマイナスのインパクトを与えうる

それでは「株主優待を中止するという発表がされたら株を売ればよい」と考える方もいるかもしれません。しかし、そう都合よくはいきません。例として、ジャスダックに上場しているココスジャパン(9943)のチャートを見てみましょう。

<線グラフ:ココスジャパン

2019年4月15日の終値は2,238円だった一方、翌日には1,738円と20%以上も下げています。これは15日の夕方に、株主優待の休止と業績の下方修正が発表されたためです。2割以上も下落した原因のすべてではないにせよ、株主優待の休止は大きなインパクトを与える発表となりえます。

この現象は、減配や無配となった場合でも起こりがちです。加えてこのような株価下落は、数年かけて得た株主優待や配当金では埋めきれない場合も多いです。従って株主優待を目当てに投資する場合でも、やはり企業の業績をチェックすることは欠かせません。

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