投資信託の積立投資の現状
公的年金だけは老後の生活資金が2000万円不足するという金融庁の報告書が話題となりました。
一連の報道では不足金額の大きさや公的年金の信頼性に注目が集まりましたが、資産運用の重要性を気づかされるものでした。
資産運用には様々な金融商品がありますが、投資信託は初心者から上級者まで多くの投資家が利用する商品の一つです。
みんなは投資信託を購入しているのか?
実際にはどれくらいの人が投資信託に投資しているのかを見てみましょう。
投資信託協会の公表した調査結果によれば、調査した時点で投資信託を保有していると答えたのは全体の14.7%でした。投資信託を保有していない人の割合が圧倒的に高いことが分かります。年代別に見ると、60代70代では2割以上が保有していると答えている一方、若い世代を見ると1割程度のしか投資信託を保有していません。特にこれから老後に備えたい現役世代の投資信託の保有率が低いことが分かります。(グラフを参照)
積立投資の魅力
なかなか最初の一歩が踏み出しにくいと感じる資産運用かもしれませんが、投資信託の積立投資なら初心者でも始めやすいと言えます。
積立投資とは、定期的に定額を買付ける投資手法のことです。定期的に決まった額が自動的に投資されていくので、購入のタイミングに悩む必要がありません。また、少額から投資が始められるというメリットもあります。多くの金融機関では月々数千円程度から投資信託の積立投資ができるようになっています。
投資信託の積立投資の実態
前述調査の投資信託の保有者のうち、積立投資を利用していると回答したのは34.9%でした。積立投資の利用率はそれほど高く無いのが現状です。
しかし、調査によれば、ここ数年間、積立投資の利用率は着実に上昇していることが分かります。(グラフ参照)
これは、長期の積立投資を推進すべく行政側が様々な政策を打ち出してきたことも関係しているようです。例えば、2017年には「iDeCo(個人型確定拠出年金)」の対象者が大幅に拡大され、多くの人が掛金を拠出して老後のために運用することができるようになりました。また、投資信託の積立投資に特化した税優遇制度として、2018年から「つみたてNISA」の制度も始まりました。
活用したいiDeCoやつみたてNISA
日本では、投資運用をしている人はまだまだ少数派だと言わざるを得ない状況です。しかし、制度面での後押しもあり、時代とともに個人の資産運用に対する認識も変わっていくはずです。今後、投資信託の保有者や投資信託の積立投資を始める投資家が増えていくことでしょう。
もし、これから積立投資を始めるのであれば、まずはiDeCoやつみたてNISAといった制度を活用するところから検討してみることができるでしょう。