マネーリテラシーの高い人・低い人の考え方、行動特性の違い

お金の知識・判断力に関する「金融リテラシー調査 2019(金融広報中央委員会)」によると、金融知識を問う正誤問題では点数が0点から100点まで広範囲に分散しており、金融リテラシーの低い人から高い人まで幅広く分布していることが分かりました。 年齢別正答率の平均値および中央値は、ともに若年層では低く、年齢が上がるにつれ高くなっています。

また、正答率が高い高リテラシー層の割合を男女別・年齢別で比較すると、40~70代男性に多い傾向があります。ボトムアップのために、若年層や女性への働きかけが求められます。

・マネーリテラシーの高い人は株式等のリスク性資産へ投資する人が多い

高リテラシー層は、金融教育を学校や家庭で受けた割合が高く、株式・投資信託・外貨預金等のリスク性資産へ投資している人が多い状況です。また、金融教育経験者は「生命保険、資金運用時に他の商品と比較する」といった望ましい金融行動をとる割合も高くなっています。 金融教育を経験することで高いマネーリテラシーを身に付けることができ、結果として望ましい金融行動をとることに繋がっています。

・マネーリテラシーの低い人は損失回避傾向・横並び行動バイアスが強く株式投資率が低い

低リテラシー層は借入れ時に他の商品と比較しない、商品性を理解せずに外貨預金を購入など、比較検討や調査をせずに購入に至るケースが多く、望ましい金融行動をとる割合が総じて低くなっています。また損失回避傾向、横並び行動バイアスが強く投資を控える人が多いといった特徴もあります。 実際に、株式に投資している人の割合は、高リテラシー層6割に対し低リテラシー層はたった1割です。日本では、保有する金融資産において株式等のリスク性資産は16%となっており、米国51%と比べると3分の1程度です。つまり、低リテラシー層の投資を控える行動が、政府の推奨する「貯蓄から投資へ」を妨げる一因となっていることが推測できます。

ナッジを利用した望ましい金融行動への誘導

日本での金融教育は若年層で広がりつつあるものの、日本で金融教育を受けた割合は米国の3分の1で7%ほどです。マネーリテラシーは一朝一夕で身につくものではないため、普及にはまだまだ時間がかかることが予想されます。 それでは、マネーリテラシーが高くなければ、望ましい金融行動をとることはできないのでしょうか。マネーリテラシーは、金融商品やサービスを「受ける側」の私たち消費者が身に付けるスキルです。対して、金融商品やサービスを「提供する側」からのアプローチで、適切な選択をさせるナッジと呼ばれる手法が注目されています。ナッジとは「肘でかるくつつく」という意味で、行動特性を利用して人々に適切な選択をさせることやその手法を指します。 東京都八王子市では、損失をアピールすることで大腸がん検診受診率を挙げ成果をあげています。 このナッジが金融商品やサービスに適切に使用されれば、低リテラシー層を望ましい金融行動に導くことが可能です。さらに、適切な行動をした結果、金融商品への知識理解が深まり、結果的にマネーリテラシーの向上に繋がる相乗効果も期待できるのではないでしょうか。

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