個人年金保険のメリットとデメリット~老後資金対策として活用する際の注意点とは?

老後への備えとして活用されることが多い個人年金保険は一昔前であれば返戻率が高くて非常に魅力的でした。しかし近年は標準利率が下がった影響等で新規契約件数が減っています。これから老後資金対策をする世代は個人年金保険に加入すべきなのか他の方法で備えるべきなのか。個人年金保険のメリットとデメリット、活用する際の注意点を紹介します。

個人年金保険の新規契約件数は減少傾向

個人年金保険には大きく分けて定額と変額の2種類があり、このうち件数が圧倒的に多いのが定額保険です。あらかじめ生命保険会社が約束した返戻率で年金を将来受け取れます。例えば毎月1万円の保険料を30年間支払って360万円積み立てる場合、返戻率が105%の保険商品であれば年金額は378万円(360万円×105%)になる計算です。


ただ2017年に生命保険業界で標準利率が変更された影響もあって返戻率が下がり、個人年金保険の新規契約件数は減少傾向にあります。変更前の駆け込み需要があった2016年と反動減が見られた2017年は極端な増減になっていますが、その後の2018年も約99万件と少なく、利率変更前の150万件前後に比べると3分の2ほどに過ぎません。

<(出所:生命保険協会「生命保険の動向」より作成)>

返戻率が高かった時代は老後への備えとして非常に魅力的だった個人年金保険ですが、今後は加入する人が減るものと考えられます。
ただここで注意したいのは、今と昔の個人年金保険を比較すると魅力が下がったとは言え、他の老後対策の手法と比べれば個人年金保険には今でもメリットがある点です。老後資金を確保する際に活用できる個人年金保険の特徴を正しく理解しておく必要があります。

銀行預金より利率が良い点がメリット、確実に老後資金を貯めたい人におすすめ

返戻率が下がって年金額が相対的に減ったとは言え、積立額よりも将来の受取額が確実に増える点は個人年金保険の大きなメリットです。銀行預金だと利率が非常に低くて口座にお金を入れてもほとんど増えませんが、生命保険会社に運用を任せれば約束された返戻率で老後に年金を受け取れます。

もちろん株式投資などの資産運用を自分で行った場合と比べれば、個人年金保険では資金が大きく増えるわけではありません。ただ資産運用では損失を出して資金が減るリスクがあるだけに、リスクを避けて確実に老後に備えたい人には個人年金保険がおすすめです。

生命保険文化センターが実施した調査では、平成30年の個人年金保険の世帯加入率は約2割で5世帯に1世帯が加入しています。返戻率が下がり今後は加入率が低下する可能性はありますが、個人年金保険が老後対策として広く活用されていることは間違いありません。

<出所:平成30年度「生命保険に関する全国実態調査」より作成>

インフレに弱い点がデメリット、途中で解約する場合は元本割れリスクに要注意

個人年金保険のうち定額保険では決まった額が老後に支給されますが、物価やお金の価値が変わっても年金額が変わらずインフレに弱い点がデメリットです。インフレに弱いのは個人年金保険に限った話ではありませんが、老後に物の値段が上がっていたとしても、物価上昇率に連動して年金額が増えるわけではありません。

また個人年金保険を途中で解約した場合、それまでに積み立てた保険料を解約返戻金として受け取れます。ただ早い時期に解約すると支払保険料総額より解約返戻金が下回ることがほとんどで、実質的に損をする点には注意が必要です。


そもそも個人年金保険では顧客が払った保険料を保険会社が運用して、運用益を徐々に積み上げて最終的に約束した返戻率で老後に年金を支給します。しかし保険加入後に期間があまり経過していない時点では運用益がまだ十分に出ていません。この段階で解約すると運用益よりも事務手数料などの諸経費が上回って損をしてしまいます。

公的年金以外の方法も活用して老後に備えることが大切

老後には国民年金や厚生年金を受け取れるものの、金額としては決して十分ではありません。国民年金は満額でも月額約6.5万円で、厚生年金の受給者の場合は平均年金月額(平成30年)が約14.5万円になっています。

公的年金の年金額はその人が現役時代に納めた保険料の納付額などによって変わるので一概には言えませんが、厚生年金の平均年金月額は低下傾向にあり、今後もさらに年金額が減る可能性を考慮して公的年金以外の方法も活用して老後に備えることが大切です。

厚生労働省「厚生年金保険・国民年金事業の概況」より作成

銀行預金・確定拠出年金・個人年金保険・株式投資など、老後資金対策には様々な方法があります。どの方法が最も良いのかはその人の資産状況やリスクに対する考え方によって変わりますが、個人年金保険も老後への備えとして検討すべき大事な選択肢の一つです。
老後の資金を貯める際には複数の方法に分けてリスク分散・バランス重視で確実に積み立てることが大切なので、個人年金保険についてもうまく活用するようにして下さい。

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