「健康増進型保険」は人生100年時代の転機になる?

2019年4月、大手4社(住友生命・日本生命・第一生命・明治安田生命)の健康増進型保険が出そろいました。健康な人や健康増進活動への取り組みに応じて保険料を割引するという特約やプログラムが組み込まれています。2018年4月、標準生命表の改定を機に保険体系の見直しが各社で行われたことで誕生した健康増進型保険は、万が一への備え=保険というこれまでの保険の概念を打ち破った新しい生命保険です。

健康増進型保険が誕生した背景

日本の出生率が減少していく中、高齢者(65歳以上)の人口増加が問題視されています。 2036年には3人に1人が高齢者となる時代が迫っており、平均寿命が年々伸びていることから、生きている間に受け取れる保険(医療保険、個人年金など)の支払いリスクが必然的に高くなるのです。  (出典:厚生労働省「平成 29 年簡易生命表の概況」を元に作成)

平均寿命の伸びや医療技術の進歩に伴い、国の医療費は著しく増加しています。平成28年度の国の医療費は42兆1381億円にものぼり、1人当たりの国民医療費は33万2,000円になりました。昭和30年は国民1人あたりの所得に対する医療費負担は3.42%だったのに対し、平成29年では10.67%と、7.34%も負担が大きくなっています。高齢者の人口増加は避けられないため、平均寿命と健康な期間(健康寿命)の差、つまり健康でない期間を短くしていくことが国民医療費の縮減につながると考えられます。

(出典:厚生労働省「平成28年度 国民医療費の概況」国民医療費・対国内総生産・対国民所得比率の年次推移を元に作成)

健康でない期間を生む原因を、介護が必要になった原因からみていきます。要介護の原因1位は認知症、2位は脳血管疾患、3位は高齢による衰弱です。

 (出典:厚生労働省「グラフで見る世帯の状況」を元に作成)

男性の要介護の原因1位は脳血管疾患であることや、脳血管疾患が認知症の原因になる可能性があることをふまえると、脳血管疾患を防ぐことで健康でない期間を短くするといった方法が一つの解決策として考えられます。一人一人が健康増進活動を行う意識を高めるきっかけとして、健康増進型保険は有効的な手段です。

健康増進型保険が生む好循環

<消費者>保険料の負担が減る
<民間保険会社>支払いリスクが減る
<国> 医療費の縮減につながる


これまでの民間保険体系は、万が一の事態に備えるためのものでありながら健康な人が損だという見解は否めませんでした。 定期的な健康診断や生活習慣の改善など健康な体づくりを心がけることで、消費者は保険料の負担が抑えられ、保険会社は給付金の支払いリスクが減り、国の医療費は縮減するという三方よしの好循環が生まれます。 健康増進型保険の誕生は、人生100年時代の転機だといっても過言ではないでしょう。今後、各々の健康に対する意識を高めていくことが重要です。

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