終活の一環としての不動産売却

家庭裁判所における遺産分割事件は増加傾向

新受件数
(資料:裁判所「家庭裁判所における家事事件の概況及び実情並びに人事訴訟の概況等」より)

上記の資料は、裁判所のWebサイトで公開されている家庭裁判所における遺産分割事件の新受件数の推移を表したデータです。遺産分割事件とは、家庭裁判所に申し立てされた遺産分割に関する調停や審判のことをいいます。遺産分割事件の新受件数はわずかに減少する年があるものの、長期的に見れば増加傾向にあります。

死亡数の増加が背景か

志望者数

(資料:厚生労働省「平成30年(2018)人口動態統計の年間推計」より)

厚生労働省で公開されている上記資料によれば、日本における死亡者数は昭和61年を境に年々増加しています。裁判所の見解として「(遺産分割事件の新受件数は)長期的に見ても増加傾向にあるのは明らかであり、これには高齢化に伴う死亡者数の増加の影響があると考えられる」と家庭裁判所における家事事件の概況及び実情並びに人事訴訟の概況等に記述されています。遺産分割事件の新受件数の増加の背景の1つには、人口動態統計で表されているような死亡者数の増加が挙げられるでしょう。

相続財産の内訳

(資料:国税庁「相続財産の金額の構成比の推移」より)

上記の国税庁が公表しているデータからは、相続財産の金額による構成比率の推移が読み取れます。平成20年の相続財産では「土地」「家屋」という不動産が過半数を占めていましたが、徐々に割合が減り、平成29年では不動産の割合が41.9%にまで減少しました。不動産の割合が減少している代わりに、現金・預貯金等の割合が増加しています。この背景には、不動産という相続人が複数いる場合に分割しにくい性質の財産であることや、相続税の納税は原則現金で行うことがあると推測します。

終活の一環としての不動産売却

(資料:裁判所「平成27年 司法統計年報」)

裁判所に申し立てを行う程であるということは、遺産分割に関して何かしら揉めているということを意味しています。家庭裁判所で扱った遺産分割事件での当事者数は3人が最も多く、2~5人で4分の3以上を占めています。遺産分割事件数のうち4分の3以上が当事者数2~5人ということは、相続人が少人数であっても複数人である限り揉め事は起こるといえるでしょう。

不動産という複数人に分割しにくい財産であるという特徴や、相続税の納税手段は原則現金となっていることから、相続財産の構成割合のうち不動産は年々減少、現金・預貯金等が年々増加しているのではないでしょうか。相続人が複数いる場合にトラブルが起きないよう、不動産という分割しにくい性質のものよりも流動性の高い現金・預貯金等にあらかじめ変えておくという考えがあると推測されます。高齢化に伴い年々死亡者数の増えている現状を踏まえ、遺産分割によるトラブルを避けるという視点のみを考えれば、終活の一環として不動産を売却して現金・預貯金等に変えることを検討するべきでしょう。

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