約40年ぶりの民法改正で遺言書による相続トラブルが減る?

相続による遺産分割には、法定相続よりも優先的に遺言書の内容が効力を発揮します。しかし遺言書には作成ルールがあるため、不備があると無効な遺言書になってしまうのです。2019年から2020年にかけて施行される相続法の改正により、相続トラブルを減らす目的で自筆証書遺言の作成ルールが緩和されることになりました。

遺言書がトラブルの火種

遺言書は、相続人(残された家族)の遺産分割をスムーズに行うための制度です。無効な遺言書と認定されると被相続人(亡くなった人)の意思が反映されないどころか争続に発展する火種となってしまいます。

(出典:裁判所「司法統計年報」より)

平成29年時点で遺言書の検認数は、10年前と比べ約1.3倍に増えています。生前に遺言書を作成する被相続人が増加傾向にあるといえるでしょう。 (出典:裁判所「司法統計年報」より)

とはいえ全国の家庭裁判所における遺産分割事件の新受件数を見る限り、遺言書作成に対する意識の高まりは感じるものの相続トラブルは減りません。自筆証書遺言は被相続人が時間と場所を選ばず自由に作成できるメリットがありますが、書式の不備が生じていると無効な遺言書となることを知っておく必要があります。

相続金額が少ないとトラブルは起きないのか?

平成29年度の相続対象金額は、5,000万円以下が75.5%です。1,000万円以下の争いだけでも32.1%と全体の約3割を占めています。資産が少ないから自分には関係ないという考え方は改めるべきです。

(出典:裁判所「司法統計年報」より)

公正証書遺言の作成に抵抗を感じる人も

(出典:日本公証人連合会ホームページより)

公正証書遺言の作成件数も増加傾向にあります。公証人が被相続人に代わり遺言書を作成するため、不備がなく有効な遺言書を作成できるのがメリットです。相続トラブルを回避できる確実な遺言書は公正証書遺言ですが、作成には数十万円のコストがかかり、公証人の立会いが必要なため抵抗を感じる人は少なくありません。

遺言書の自筆ルール緩和内容

自筆証書遺言は全文自筆のルールがありましたが、2019年1月から以下のルールが追加されたことにより全文自筆の必要はなくなりました。

  • 財産目録はパソコンで作成できる
  • 通帳のコピーなどを添付できる

2020年7月からは法務局が利用可能になり、以下のルールが追加されます。

  • 法務局で自筆証書遺言の保管ができる
  • 法務局に保管するとき、書式に不備がないか確認してもらえる

自筆証書遺言の作成ルールが緩和されると、公正証書遺言に比べコストがかからず、作成に時間も場所も選ばない自筆証書遺言が注目されるでしょう。それに伴い有効な遺言書が増え、相続トラブルが減ると予測できます。しかしながら、民法改正が行われるだけでは意味がありません。実際に利用する人たちへ、民法改正の周知を行うことが今後の課題となります。

前へ

日本人とマネーリテラシー

 iDeCoの節税メリットを給付時における課税が上回る「納税デメリット」が起こるのはこんなとき

次へ